障がい者の働き方 ~就労継続支援について~

著者:竹口 真一 氏

障がい者が就職するにはかなりのハードルがあると思われますが、支援を受けることによって仕事をすることも可能と思われます。特に精神障がい者が就労する際に、かつて身体、知的、精神の中で精神障がい者について最も企業側が雇用を躊躇するということがありました。

種類としては

  1. 就労継続支援(A 型又は B 型)の福祉サービスを受ける
  2. 障がい者雇用にて雇用を受ける
  3. 一般企業にて就労する

 

などがあります。

今回は、福祉的・就労的な意味から

“1. 就労継続支援(A 型又は B 型)の福祉サービスを受ける”

についてお話します。

就労継続支援 A 型

一般就労の難しい障がいや難病のある方が雇用契約を締結した上で一定の支援を受けて訓練を受ける福祉サービスです。所謂最低賃金(大阪府の場合は964円R3.9現在)の保障、社会保険等の加入義務もあります。勤務時間によっては厚生年金の加入も出来ますが平均すると週20時間から始まりますので、しばらくは国民年金となります。

 

世帯収入が多い場合は、利用料を支払う必要があるためマイナスになる場合もあるという課題があります。生活保護世帯や市町村民税非課税世帯は、原則無料になりますのでほとんどの方は無料で利用出来ます。

就労継続支援 B 型

A型就労と同じく一般就労の難しい障がいや難病のある方が対象となりますが、B型の場合は雇用契約を締結しないため最低賃金の保障はなく、工賃として支給されます。しかしながら、昼食代、世帯収入が多い場合は、利用料を支払う必要があるためマイナスになる場合もあるという課題があります。生活保護世帯や市町村民税非課税世帯は、原則無料になりますのでほとんどの方は無料で利用出来ます。

 

A型の場合は18歳から64歳までが原則ですが、B型の場合は基本的に年齢制限はなく、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

・就労経験がある方で年齢や体力の面で一般企業に雇用される事が困難になった方

・50歳に達している方、または障害基礎年金1級受給者

・上記に該当しない方で就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面にかかる課題などの把握が行われている方

利用する流れ

1.主治医と相談する。

病状によっては就労自体不可の場合もあり、無理に就労することによって悪化することもありますので意見を判断する必要があります。

 

2.希望の求人を探す

自治体の障がい福祉課やハローワーク等で紹介を受けることも出来ます。福祉サービスは基本就職情報誌に掲載されないので、障がい福祉に詳しいところで問い合わせするのもよいかと思います。

 

3.応募、面接

気になる求人は面接を受けます。ここはどこの企業等でも同様です。現在はコロナ渦のため見学を受け付けていないところもありますが、稀に見学、実習を受け付けているところもあります(言うまでもなく感染対策を講じた上での条件になります)。

後々のミスマッチを少しでも防ぐ意味でも、可能ならば受けてみるとよいかも知れません。あくまでも実習なので、給料等は出ませんので注意が必要です。

 

4.(内定を受けた場合)

もし内定を受けた場合は、居住する市区町村の障がい福祉課に利用申請をします。その後に市区町村の担当者からサービス利用についての聞き取り調査があり、認定会議を経て正式に就労継続支援事業所の利用が決まります。サービス利用にあたっては、「サービス等利用契約書」の提出も必要になってきます。

 

5.受給者証が発行されたら

正式に決定したら「障がい福祉サービス利用受給者証」が発行されますので、事業所へ持参して契約を締結した方について通所開始となります。

就労支援

精神障がい者の場合就労するにあたって一番高い課題は、継続して出勤出来るかに尽きます。体調がなかなか安定しないが故に、休んでしまうことが多くなってしまっては意味がありません。

個々の状況によりますが、まずは 1 日 2 時間からスタートして、安定すれば徐々に時間を延長するという方法が多く採用されています。ただ A 型就労の場合は週20 時間が基本なので難しいのですが、体調が思わしくない場合は、中抜けするなどをして少しでもストレス環境を緩和させるという方策が採られている事業所もあります。もちろん面接などの際に配慮してもらえるところなのか確認が必要です。

訓練内容

A 型か B 型(生活介護)によりますが、 A 型の場合は軽作業、ネットオークション出品などがあり、稀にパソコン入力などの事務作業があります。

軽作業の場合、清掃、箱折りなどがありますが、製造の仕事もあります。作業所によりますが、各々の能力などによって適した場所があると思います。ミスマッチを防止するために、実習があるところで 1 週間程度実習してから判断するのがよいでしょう。

障がい者求人では事務職または軽作業的なものが多く、一般就労を目指すのでしたらその目指すものに合った作業所が適しています。

給与(生活)

週 20 時間勤務で 77,000 円弱の給料が支給されます。(大阪府の場合)

実家暮らしなどならそれでもよいのですが、1 人で暮らしていくには生活自体困難な数字です。その場合、障害年金を併用すれば 1 人で暮らすことは可能です。言うまでもなく贅沢は出来ないのですが、精神障がい 2 級の年金なら少しながらお金を貯めることも出来るでしょう。

 

例えば精神障がい 3 級の場合はまた話は変わってきまして、所謂障がい者雇用で働く方法でないと生活が困難と思われます。理由として精神障害年金 3 級の場合は厚生年金のみになり、月ベースで 49,000 円程度になりますので、差額 101,000 円程度の手取りがないと厳しくなります。最終目標として、就労支援で力をつけられたら一般就労で仕事するということを考えるのもよいと思います。

個人的には半年、一年というスパンではなく、もう少し長いスパンで段階的に進めていくとよいと思われます。

ただ無理は禁物です。焦ってしまう気持ちは私自身がそうなのでわかりますが、その結果よい方向に進まないことが多いので、一歩ずつ進めていくのがよいでしょう。